URSULA’S RETURN アースラの逆襲を追え!

アースラが再び動き出す―― 海の底でひそかに広がる不気味な力に、グリマーたちとイリュミニアが立ち向かう!仲間を救い、大切なものを守るための冒険が始まる。
希望のバラが変わったとき
ある静かな日、ベルは自分のテントの中で、魔法の知識が詰まった本を読んでいました。そこへ、足をひきずったビーストが、ふるえるルミエールを抱えて飛び込んできたのです。その足には、むらさき色の海草がからまり、黒い煙が立ちのぼっていました。それを見たベルの心は、凍りつくようでした。
気がつくと、ベルはもう冒険の旅に出ていました。ビーストを助けるため、インクに満ちた世界を走りぬけ、いくつものキャンプや高い壁、入り江を越えていきました。しかし、どれほど探しても役立ちそうなものは見つからず、気づけば彼女は、ぽっかりと口をあけた恐ろしげな洞くつの前に立っていたのです。
ベルは少しためらいました。でも、洞くつの奥からほんのりと光るアメジスト色の輝きに、なぜか心を引かれたのです。「これが、ビーストを助ける手がかりかもしれない…」そう感じた彼女は、勇気をふりしぼって中に入りました。
目を開けると、足元にはインクのような光がぐるぐるとまわっていて、彼女の体には深い青色のマントがふわりとかかっていました。そして目の前には、空中に浮かぶ魔法のバラ──いえ、今では金色の持ち手のついたランタンへと姿を変えていたのです。
ベルがそっとそれを手に取ると、ランタンはぱっと明るく輝きました。その光に包まれながら、ベルははっと息をのみ、「今、何をすべきか」が心に浮かびました。
新たな決意に胸を燃やし、マントをたなびかせ、魔法のバラのランタンをかかげて、ベルは愛するビーストのもとへ駆け出しました。彼を救うために。
嵐の目の中で
ミニー、危険な海へ
ミニーマウスがいちばん好きなのは、探検のワクワクです。だから、シャンズェイが洪水と不思議な失踪事件のつながりを探していたとき、ミニーのグリマーは喜んで協力を申し出ました。行き先は、地図にもない小さな入り江。植物が生い茂ってはいたものの、ドナルドダックのグリマーも同行する予定で、ミニーは安全だと思っていました。
けれど今、キャンプから離れ、ドナルドが別の場所を探している間に、ミニーは心細くなっていました。楽しい冒険になると思っていたのに、耳に入ってきたのは遠くから聞こえる歌声。声をたどって泳いでいくと、光る洞くつの入口が現れ、そこにはゆっくりと揺れる長い海草が。
ミニーは深呼吸をして洞くつに入りましたが、その歌はだんだん大きくなり、美しくも恐ろしい響きに変わりました。そして歌っていたのは──アースラだったのです。
逃げようと足を動かそうとすると、海草がぐるぐると巻きついて、ミニーはまったく動けなくなってしまいました。冷たい紫と黒の海草が足、腕、ヘルメットまで巻きつき、世界は闇に包まれました。
シャンズェイの不安と奇妙な再会
シャンズェイはテントのロープを何度も結び直していました。なぜか落ち着かない気持ちが拭えず、ミニーのことが心配でなりません。「何か悪いことが起こりそうな気がするの」とつぶやくと、マーティンが「ミニーのこと、ヴェンチューロに聞いてみるよ」と言ってくれました。
その後、物資小屋から音がして、シャンズェイがかけつけると、海藻にまみれた目の光る人影が立っていて、ルミエールを抱えて逃げ出しました。追いかけると、その姿はなんとミニー。けれど、どこかおかしいのです。まるで何かにとりつかれているようでした。
「ミニーが…変わってしまった」とシャンズェイが言うと、マーティンもミッキーも表情をこわばらせました。「アースラの仕業かもしれない」と。
ミニーを救え
逃げたミニーのグリマーを、ルイーサたちが追いかけて見つけたのは、遠くの海でした。ミニーはサンゴ礁に足をはさまれて動けずにいて、ルミエールも見当たりません。
ヴェンチューロが助けようとしましたが、うまくいかず。そこでシャンズェイとミッキーが協力して水中へ向かいます。そっとミニーに近づき、「あなたはミニー、強くて優しい」と声をかけました。ミッキーも「君は一人でも十分すごいんだ」と言葉を重ねました。
その言葉に、ミニーの目の光が少しだけ弱まりました。しかしそのとき、恐ろしい声が海の中に響いたのです。「これ以上はやらせないわ、これは私のものよ」とアースラの声が。そしてミニーは海の闇に消えていきました。
「でも、手がかりはつかんだわ」とシャンズェイは微笑みました。「ミニーを救う道は、まだあるのよ。」
アースラの砦へ
ついにアースラの砦が見えてきました。ねじれたサンゴと割れた貝殻のような、恐ろしい見た目でした。中に入る前に、海から不自然な波が押し寄せ、そこには海藻にまかれたフック船長のグリマーが立っていました。
「立ち去れ!」と叫ぶフックに、シャンズェイは言い返します。「なぜ偉大なフック船長が命令されてるの?」その言葉に、フックの目の光がゆらぎ始めました。
「ピーターパンが見たら何て言うかな?」とマーティンが言うと、フックは口を開いたまま動かなくなり、そして次の瞬間、水に飛び込んで逃げていきました。
「これでよかった」とシャンズェイは言いました。「ミニーを取り戻す。そのために、今度こそアースラを閉じ込めるわ。小さな水槽に、ずっとね。」
失われたかけら 〜 エピローグ 〜
物語の終わりを感じさせる空気の中で、ひとかけらの紫色のほこりがふわりと舞い、ミッキーマウスのグリマーのムスケティア帽に落ちました。ミッキーは何気なくそれを払うと、アースラのアジトがあった場所を静かに見渡しました。仲間のグリマーたちとイリュミニアたちが、荒れ果てた場所に残る痕跡を調べていました。
「これ全部、掃除しなきゃいけないのか?」ヴェンチューロが言いながら、足にからみついた紫の海藻を蹴飛ばそうとします。ムーランが矢でその海藻をつついてみますが、動く気配はありませんでした。
そのとき、マーティンが乾ききったサンゴ礁の上に立っていたミッキーのそばへ来て、ふと足元を指さしました。「あれは…?」
シャンズェイとアリエルがすぐさま駆け寄り、みんなが静かにその泥に半分うもれた物体を見つめます。
それは王冠の一部、そう、「ヘックスウェルの冠」でした。
残っていた3つの突起には、それぞれアメジストの宝石がはめこまれており、中央にはもっと大きな宝石が輝いていました。誰も言葉を発する前に、アリエルがそっとその破片を引き抜くと、ぬかるんだ音を立ててようやく冠は姿を現しました。
宝石は一瞬だけきらめきましたが、すぐにその光は薄れ、代わりに墨のように黒くゆらめく魔力のしずくがひとすじ立ち上りました。
「割れてても、まだ力の痕跡がある…」とヴェンチューロがつぶやき、考え込んでしまいました。
「でも、このギザギザの断面を見て。残りは壊れたんだよね…?」とマーティンが聞きます。
シャンズェイはゆっくり首を振ります。「そんな希望には、かけられない。あの力の恐ろしさは、私たちが一番知ってる。まだ残りがあるなら、見つけないと。」
ムーランは髪を束ねていた緑色の布をほどき、それで王冠のかけらを丁寧に包みました。ヴェンチューロはその包みを慎重にバッグにしまいます。
やがて一行はロルカナの広間へ戻り、王冠がもともと置かれていた空間へとかけらを戻しました。今回はヴェンチューロが、新しい安全装置を加え、守りをさらに強化していました。動きを感知するドローンもいくつか追加され、万全の備えがなされます。
そしてシャンズェイは、グリマーのスリーピーとクロンケを番人に選びました。スリーピーなら絶対に動かないし、クロンケは頼もしい力持ちです。
この魔法のインクと想像の世界で、確かなことは少ないかもしれません。それでもイリュミニアたちは、壊れたこの力のかけらが、今はきっと安全に守られていると信じていました。
まとめ
『URSULA’S RETURN』では、アースラの魔法にとらわれた仲間たちを助けるため、ミッキーやミニー、ベルたちが力を合わせて立ち向かいます。心の強さや仲間との絆がカギとなる物語は、ディズニーロルカナの世界に新たな深みをもたらします。君もこの冒険に参加して、海の奥深くに隠された真実を見つけよう!